音や刺激に敏感な人が、仕事中に流しやすいBGMを7つ紹介します。
どれもYouTubeかYouTube Musicなら無料で、周りの話し声を目立たなくするマスキング音から、起伏の少ないジャズピアノやローファイまでそろえました。
HSP向けの仕事中BGMは、音や光などの刺激を受け取りやすい人が、作業中に流しても疲れにくいように、歌詞がなく、急な音や大きな音量差が少ない音を選んだBGMです。
HSPは心理学者のエレイン・アーロンが提唱した気質の概念で、医学的な診断名ではありません(くわしくは後半で説明します)。
選び方の理屈は後半「この7つを選んだ基準」にまとめています。
HSPの仕事中に流しやすいBGMおすすめ7選
1は音楽ではなく、周りの雑音を目立たなくするためのマスキング音です。
2から先は音楽で、アコースティックギター、アンビエント、カフェジャズ、ジャズピアノ、ローファイと続きます。
「音楽そのものが気になってしまう」日は1から、「静かすぎると逆に落ち着かない」日は4あたりから試してみてください。
1. NOISE CANCELLING SOUND MASKING
職場の話し声や生活音がどうしても耳に入ってくる人のために作られた、「HSP 水中音とノイズキャンセリングサウンド 500 Hz」という約6時間の動画です。
概要欄によると、制作者自身が気になる音に悩んで作り始めたもので、500Hzは「女性の会話、生活音」向けという目安が書かれています(周波数の目安は制作者の感覚とのこと)。
同じ概要欄に「音量が大きすぎると逆に疲れる」「上げても気になる音が聞こえるなら別の周波数を試して」とあるので、まずは小さめの音量で流してみてください。
2. Melo Dish
マスキング音だと味気ないけれど、にぎやかな音楽もつらいという日にちょうどいいのが、「お部屋にそっと溶け込む音」と題したアコースティックギターの動画です。
概要欄でも「静けさを邪魔せず」作業に寄り添うBGMとうたっていて、アコースティックギターの音色を主役にしたプレイリストです。
約1時間24分あるので、午前中のメール処理や資料づくりをひとまとまり片づけるあいだ、流しっぱなしにできます。
3. Calma Musica
メロディを追ってしまうのが気になる人には、タイトルに「気が散りやすい人が作業に入りやすくなる静かな集中音」とあるアンビエントの動画を。
概要欄によると、静かな音と低い音域を中心にして、長時間でも聴きやすいように作られています。
同じ概要欄には「科学的に集中しやすい脳状態をつくる」という説明もありますが、この記事ではその根拠を確認できていないので、3時間12分ある静かなアンビエントとして紹介しておきます(α波についてはα波の音楽の解説にまとめています)。
4. カフェ作業用BGMスタジオ
アルバム名に「HSP仕事中BGM」と入った「HSP仕事中BGM 集中しやすい静かなカフェ」は、ひとりの部屋だと静かすぎて落ち着かない人に向いた30曲、約1時間28分のアルバムです。
1〜10曲目は「会話とグラス音が混ざる昼下がり」「人の気配が心地いい作業時間」のように、曲名からしてカフェのざわめきが入ったジャズが並びます。
逆に人の話し声がそれだけで気になる人は、11曲目以降のジャズやボサノバから流すほうが合うかもしれません。
Apple Musicでは英題「Hsp (Highly Sensitive Person) Background Music While Working: Quiet Cafes That Help With Concentration.」で表示されます。
5. 仕事・勉強が捗る作業用BGMおすすめ
曲が変わるたびにテンポが変わって気が散る人には、「長時間のオフィスワークでも聴き疲れしない癒しジャズBGM」がいいと思います。
30曲中10曲の曲名に「BPM116」とあり、少なくともその10曲はテンポがそろっているので、曲の切り替わりで急に速くなったり遅くなったりしにくい作りです。
約1時間22分あるので、午後の長いデスクワークでもアルバム1枚で通せます。
Apple Musicでの英題は「Relaxing Jazz Background Music That Won’t Tire Your Ears Even During Long Hours of Office Work.」です。
6. Lofi Jazz Terrace
音の変化が少ないほうが落ち着く人には、同じようなゆるいビートが淡々と続くローファイの「午後のデスクで静かに集中できるローファイチル」を。
20曲で約54分、1曲はだいたい2〜3分半で、「Quiet LoFi」「Soft LoFi Vibe」のように静かさを曲名に入れた曲も並んでいます。
ローファイはもともと音のざらつきやこもった質感を楽しむジャンルなので、きらびやかな高い音が苦手な人にも試してほしい1枚です(ジャンルの特徴はローファイとはで解説しています)。
Apple Musicでは英題「A Low-Fi Chill for Quiet Concentration At Your Desk in the Afternoon.」で表示されます。
7. Creamy Panda
長い動画だと終わりが見えなくて疲れてしまう人には、10曲で約30分の「仕事用カフェBGM:午後の静かな作業時間 集中カフェ気分」がおすすめです。
アルバムが終わって音が止まったら、そこでひと休みする合図にできます。
前半は朝カフェをテーマにした軽めの曲、後半は「Mellow Saxophone Whispers」「Smooth Guitar Serenade」のようなサックスとギターの曲という並びです。
Apple Musicでの英題は「Cafe BGM for Work: Quiet Afternoon Work Time, Concentrated Cafe Atmosphere」です。
7選の比較
迷ったら、いちばん気になっているのが「周りの音」なのか「音楽そのもの」なのかで選んでみてください。
| 名前 | 音の中身 | 刺激の強さ | 合う場面 |
|---|---|---|---|
| NOISE CANCELLING SOUND MASKING | マスキング音(水中音) | メロディなし | 職場の話し声が気になるとき |
| Melo Dish | アコースティックギター | 静かでやわらか | 在宅の午前の作業 |
| Calma Musica | アンビエント | 起伏が少ない | 3時間ほどの長い集中 |
| カフェ作業用BGMスタジオ | カフェジャズとボサノバ | 人の気配あり | 静かすぎる部屋での作業 |
| 仕事・勉強が捗る作業用BGMおすすめ | ジャズピアノ | テンポがそろっている | 午後の長いデスクワーク |
| Lofi Jazz Terrace | ローファイジャズ | 単調でこもった音 | 午後のデスク |
| Creamy Panda | カフェジャズ | しっとり | 30分で区切る作業 |
この7つを選んだ基準
7つに共通させたのは、この3条件です。
- 歌詞がない
- 急な音や大きな展開が少なそうな音
- 小さな音量でも成り立つ
1つ目の歌詞については、歌詞のある音楽を流しながら文章を読むと、無音のときより読解テストの成績が下がったという実験があります(Perham & Currie, 2014)。
歌詞も言葉なので、メールや資料を読み書きしている頭の中の言葉と取り合いになるからです。
これはHSPかどうかに関係なく言えることなので、7つとも歌詞のないものにしました。
2つ目は経験則で、HSPを対象にBGMを比べた研究は見つけられませんでした。
アーロンの説明では、HSPは物事を深く処理するぶん、強い刺激に圧倒されやすいとされています(The Highly Sensitive Person)。
なので、ドラムが急に入ったり、サビで一気に盛り上がったりする曲は避けました。
ただ、この記事では全曲を通して聴いて確かめたわけではありません。
ジャンル(アンビエント、ローファイ、静かなジャズ)や、タイトル、曲名、概要欄から「起伏が少なそう」と判断した範囲なので、流してみて気になる曲があれば飛ばしてください。
3つ目の音量については、環境音の大きさと創造的な課題の成績を比べた研究で、70dB程度の適度な音のほうが50dBの静かな環境より成績がよく、85dBの大きな音では下がったという結果が出ています(Mehta, Zhu & Cheema, 2012)。
この実験はHSPを分けて調べたものではないので、刺激に敏感な人にも同じ結果が当てはまるかはわかりません。
それでも「大きすぎると逆効果」という向きは参考になるので、小さな音量で流しても成り立つものを選んでいます。
具体的な音量の決め方は作業用BGMの音量の目安にまとめています。
HSPとはどういう概念か
HSP(Highly Sensitive Person)は、アメリカの心理学者エレイン・アーロンが1996年の一般書で使い始めた言葉です。
翌1997年には、アーロン夫妻が「感覚処理感受性(Sensory-Processing Sensitivity)」を測る27項目の尺度を論文で発表しています(Aron & Aron, 1997)。
一方で、HSPは病気や障害の名前ではありません。
日本心理学会の『心理学ワールド』に掲載された飯村周平さんの解説では、HSPは心理学が発祥の言葉で、精神疾患の診断基準DSM-5にも載っておらず、疾患名ではないと説明されています(飯村, 2022)。
同じ解説によると、感受性の高さはHSPか非HSPかの二択ではなくグラデーションで、合わない環境ではつらくなりやすい一方、合う環境ではむしろ過ごしやすくなる傾向もあるそうです。
BGMも、その人に合う音の環境を整える手段のひとつとして使ってもらえればと思います。
HSPの仕事中BGMのよくある質問
Q. 職場でイヤホンが使えません。ほかに方法はありますか?
A. イヤホンが使えない職場だと、BGMで周りの音を目立たなくする方法そのものが使えません。
在宅ワークの日や休憩中に、1のマスキング音や2のギターで耳を休める時間をつくるのが現実的です。
オフィスで流すBGMの考え方はオフィスBGMで紹介しています。
Q. マスキング音とホワイトノイズはどう違いますか?
A. ホワイトノイズは「サー」という音で、周りの雑音を目立たなくするマスキングによく使われる音の一種です。
1の動画は水中のようなこもった音で、制作者が気になる音の高さ(周波数)に合わせて作り分けています。
ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズの違いはノイズの色の解説に、雨音やカフェの音との使い分けは作業用の環境音にまとめています。
Q. BGMを流しても、仕事中のしんどさが変わりません
A. BGMで変えられるのは、耳に入る音の環境の一部だけです。
人間関係や仕事量、体調など、音以外の理由でしんどさが続いているなら、BGMを替えるより先に、職場の産業医や医療機関、カウンセラーなどの専門家に相談してみてください。
HSPは診断名ではないので、つらさの原因がHSPの気質なのか別のことなのかも、自分だけで決めつけないほうが安心です。
Q. 歌詞のある好きな曲を流してはいけませんか?
A. 気分を上げたいときや単純作業なら、好きな曲でかまいません。
歌詞を避けたほうがいいのは、前掲のPerham & Currie (2014)のように、文章を読んだり書いたりする作業のときです。
メールや資料づくりのあいだはインスト、データ入力のような手を動かす作業では好きな曲、と使い分けるのもありです(ここは編集部の経験則です)。
刺激に疲れにくいBGMの選び方
HSPの仕事中BGMは、歌詞がなく、急な変化が少なく、小さな音量でも成り立つものから選ぶのが目安です。
周りの話し声が気になるなら1のマスキング音、静かすぎる部屋が落ち着かないなら4のカフェ系、音楽の変化そのものが気になるなら5のジャズピアノや6のローファイから試してみてください。
集中したいときのBGM全般は集中できるBGMで、作業用BGMの研究は作業用BGMの効果で紹介しています。
カフェ系のアーティストはカフェBGMアーティスト一覧にまとめています。
この記事を書いた人
Cafe BGM Playlister 編集部
カフェBGMと作業用BGMの専門メディア「Cafe BGM Playlister」の編集部です。
運営元のレーベルでカフェBGMアーティストの楽曲制作と配信に携わっていて、この記事で紹介したアーティストの一部も当レーベルの所属です。
選曲は、収録曲や再生時間、公開されている情報を編集部が確かめたうえで選んでいます。
