ホワイトノイズとブラウンノイズの違い|ピンクノイズとの使い分け

作業用に「ホワイトノイズ」を探していると、ピンクノイズやブラウンノイズという名前の動画も並んでいて、どれを流せばいいのか迷いますよね。
どれも「サー」とか「ゴー」とか鳴り続けるだけの音なのに、色の名前で呼び分けられています。

ホワイトノイズとブラウンノイズの違いは、音のエネルギーを低い音と高い音にどう配分しているかの違いです。
ホワイトノイズは全部の周波数に同じだけエネルギーを持ち、ピンクノイズとブラウンノイズは高い音ほどエネルギーを減らしていきます。
この記事では、3色の違いを周波数の配分から説明して、聞こえ方、研究でわかっていること、作業や雑音マスキングでの使い分けまでまとめました。

ノイズに色の名前がついている理由

ノイズの色は、光のたとえから来ています。
白い光がいろいろな色の光を均等に含んでいるのと同じように、全部の周波数を均等に含むノイズを「ホワイト(白)」と呼んだのが始まりです(Colors of noise – Wikipedia)。

ピンクノイズは、そこから高い音を少し減らして低い音寄りにしたノイズです。
光でいえば波長の長い赤のほうへ寄るので、白に赤を混ぜた「ピンク」と呼ばれています。

ちょっと紛らわしいのがブラウンノイズです。
こちらは茶色という色ではなく、水に浮かぶ微粒子の不規則な動き「ブラウン運動」から来た名前で、ブラウン運動を記録した植物学者Robert Brownの名前にちなんでいます(前掲のColors of noise – Wikipedia)。
「レッドノイズ」と呼ばれることもあります。

ホワイト、ピンク、ブラウンの違いは周波数ごとのエネルギー

3色の違いは、低い音から高い音までのどこにエネルギーを多く置くかで決まります。
音の高さは周波数(Hz)で表して、周波数が2倍になると1オクターブ上がります。
この「1オクターブあたりどれだけエネルギーがあるか」で比べると、違いがつかみやすくなります。

  • ホワイトノイズ:1Hzあたりのエネルギーがどの高さでも同じ。オクターブで見ると、上のオクターブほど幅(Hzの数)が広いぶんエネルギーが多くなる
  • ピンクノイズ:1Hzあたりのエネルギーが周波数に反比例して減る(1/f)。1オクターブ上がるごとに約3dB下がり、結果として各オクターブのエネルギーがそろう
  • ブラウンノイズ:1Hzあたりのエネルギーが周波数の2乗に反比例して減る(1/f²)。1オクターブ上がるごとに約6dB下がるので、低い音が強く出る

数値は前掲のColors of noise – Wikipediaの定義によります。
ピンクノイズの「各オクターブのエネルギーがそろう」という性質は音響の現場で重宝されていて、スピーカーや部屋の音響を測るときの基準信号によく使われています。

3色の聞こえ方

周波数の配分が違えば、耳に届く印象も変わります。
人の耳は音の高さをオクターブ単位で感じるので、上のオクターブほどエネルギーが多いホワイトノイズは、高い音が目立って聞こえるわけです。

色 エネルギーの配分 聞こえ方の目安 たとえられやすい音
ホワイト 全周波数で均等(1Hzあたり) シャーッと高めで明るい テレビの砂嵐
ピンク 高い音ほど減る(1/f) ザーッと高さのバランスがいい 強めの雨、滝
ブラウン 高い音ほど大きく減る(1/f²) ゴーッとこもった低音 遠くの滝、飛行機の機内

「たとえられやすい音」の列は、ノイズ動画の説明やタイトルでよく使われる言い方を拾ったもので、厳密な対応ではありません。
もうひとつ注意したいのが、YouTubeや配信サービスのノイズ音源の多くは、聴きやすくするために作り手が加工している点です。
後で紹介するブラウンノイズの動画も、説明欄に「なめらかにして低音を深めたものを重ねた」と書かれています。
色の名前は「だいたいこの傾向の音」という目印くらいに受け取っておくのが安全です。

ノイズと集中について研究でわかっていること

ノイズで集中できるかどうかは、研究ではまだはっきり決着していません。
編集部で確認できたなかで一番まとまっているのは、2024年に出たメタ分析です(Nigg et al., 2024)。
ADHDの診断がある人や症状が強い人を対象に、ホワイトノイズかピンクノイズを流しながら注意力の課題をした研究を集めたものです。

結果は、ADHDの人たちでは課題の成績に小さいながらプラスの効果が出ていました(13研究、335人)。
一方で、比較のために参加したADHDではない人たちでは、逆に成績が下がっています(11研究)。
つまり「ノイズを流せば誰でも集中できる」とは言えず、合う人と合わない人がいる可能性を示した結果です。
著者らも、実験の期間が短いことや音量の条件がばらばらなことを限界として挙げています。

ブラウンノイズについては、同じメタ分析で該当する研究が1本も見つかっていません。
SNSでは「ブラウンノイズで集中できる」という話をよく見かけますが、少なくともこのメタ分析の時点では、研究の裏付けはまだないということになります。
この記事も、ブラウンノイズの効果については経験則の範囲でしか書いていません。

話し声を隠す「雑音マスキング」のほうには、オフィスを想定した実験があります(Haapakangas et al., 2011)。
54人が、話し声に5種類の音(フィルターをかけたピンクノイズ、換気の音、歌なしの音楽、歌ありの音楽、湧き水の音)を重ねた条件で作業しました。
成績と満足度で一番よかったのは湧き水の音で、歌ありの音楽は話し声そのものと同じくらい悪い影響が出ました。
著者らは、オープンオフィスには音楽より一定の音のマスキングを勧めています。
ピンクノイズが一番ではなかった点も含めて、ノイズの色より「一定で、言葉が入っていない音か」のほうが効いている可能性があります。

作業や雑音マスキングでの使い分け

ここからは研究ではなく、編集部の経験則です。
色を選ぶときは「何を隠したいか」と「耳がどの高さの音を嫌がるか」で決めると迷わずに済みます。

  • 話し声やキーボードの音が気になる:まずピンクノイズ。話し声の帯域をほどよく覆いつつ、高音がホワイトほど刺さらない
  • ホワイトノイズのシャー音が耳につく:ピンクかブラウンへ。高い音が減るぶん、長く流してもうるさく感じにくい
  • エアコンや車の走行音のような低い音が気になる:ブラウンノイズ。低い音同士が重なって、騒音のほうが目立ちにくくなる
  • ノイズ自体が味気なくて続かない:雨音や水音の環境音、またはノイズ入りのローファイに切り替える

前掲のHaapakangasらの実験で湧き水の音が一番よかったように、人工的なノイズだけが選択肢というわけでもありません。
雨音やカフェの店内音もふくめて場面別に選びたい人は、作業用の環境音おすすめで使い分けをまとめています。

音量にも気を付けておきたいところです。
ノイズは曲の切れ目がないので、気付かないうちに長時間、同じ音量で耳に入り続けます。
WHOとITUの安全なリスニングの基準では、大人は80dBで週40時間までが目安とされています(WHO-ITU, Safe listening devices and systems)。
周りの物音が「気にならなくなる」くらいで止めておいて、聞き取るための音ではないと割り切ると、音量を上げすぎずに済みます。
音量の決め方はBGMの音量の目安でくわしく書いています。

実際に聴くなら

3色を1本ずつと、ノイズと音楽の中間の1枚を選びました。
どれも聞き取れる声や急な音の変化がない、長く流せる音源です。

1. Relaxing White Noise

  • ホワイトノイズ
  • シャーッと明るい
  • 宿題や試験勉強に

ホワイトノイズの基準になる音を一度聴いておきたいなら、まずこの1本です。
ノイズと自然音の専門チャンネルRelaxing White Noiseが「勉強用」と銘打って出している10時間の動画で、概要欄にも宿題や試験勉強の物音よけとして作ったと書かれています。
ほかの2色と比べるときの基準として流してみてください。

2. Dalesnale – Noise Ambient

  • ピンクノイズ
  • ザーッとバランスがいい
  • 話し声が気になる日に

ピンクノイズの定番として長く再生されてきた10時間の動画を、暗い画面で作り直した版です。
概要欄によると、シンセサイザーで作ったノイズを、放送業界で定められたピンクノイズの周波数特性に合わせてイコライザーで整えたとのこと。
ホワイトノイズの高音が耳についた人が、次に試すのにちょうどいい1本です。

3. crysknife007

  • ブラウンノイズ
  • ゴーッと低くこもる
  • 低い騒音を隠したい日に

低音側に寄ったブラウンノイズがどんな音か知るなら、この「Deep Layered Brown Noise」が手軽です。
説明欄には、ステレオのブラウンノイズをなめらかにして低音を深めたものを何層も重ねた、と書かれています。
つまり加工の入ったブラウンノイズなので、教科書どおりの1/f²そのものではない点だけ頭に置いておいてください。

4. Moon Roast

  • ノイズ入りローファイジャズ
  • ノイズと音楽の中間
  • ノイズだけだと続かない日に

ノイズの色を音楽の中で聴き比べられる、ちょっと変わった1枚です。
アルバム「Gentle Hiss Lofi Jazz White Noise」には「Lofi Pink Noise」「Jazz Brown Noise」「Midnight Jazz White Noise」と3色の名前がついた曲が入っていて、ほかにも雨音やテープのヒス、扇風機の音をタイトルに掲げた曲が並びます。
全20曲で、ノイズだけだと味気なくて止めてしまう人の逃げ道に置いておくと便利です。

ノイズの色のよくある質問

Q. ホワイトノイズとブラウンノイズ、集中にはどちらがいいですか?

A. 研究ではまだ答えが出ていません。
前掲のNiggらのメタ分析はホワイトノイズとピンクノイズの研究しか集められず、ブラウンノイズの研究は見つかっていません。
編集部の経験則では、高い音が耳につくならブラウン、話し声を隠したいならピンクから試すのがおすすめです。

Q. ピンクノイズとは何ですか?

A. 1オクターブ上がるごとにエネルギーが約3dBずつ下がるノイズで、各オクターブのエネルギーがそろっています。
ホワイトノイズより高い音が控えめで、ザーッという雨や滝のような音に聞こえます。
音響機器の測定で基準信号として使われるのも、この「オクターブごとにそろう」性質のためです。

Q. ノイズを流すと誰でも集中できますか?

A. そうとは限りません。
前掲のメタ分析では、ADHDではない人たちの成績はノイズで少し下がっていました。
流してみて落ち着かない、かえって疲れると感じたら、無理に続けず止めるか、環境音や歌のない音楽に切り替えてください。

Q. 一日中流しっぱなしでも大丈夫ですか?

A. 音量しだいです。
前掲のWHOとITUの基準(大人は80dBで週40時間)を超えないように、物音が気にならなくなる最低限の音量にしておきましょう。
耳鳴りや耳の違和感が続くときは、ノイズで紛らわさず耳鼻科で相談してください。

まずは3色を流して比べてみる

ノイズの色は、低い音と高い音へのエネルギーの配り方の違いです。
ホワイトが一番明るく、ピンク、ブラウンの順に低くこもっていきます。
研究で集中への効果がはっきりしているわけではないので、上の3本を5分ずつ流して、耳が一番楽な色を選ぶのが確実です。

ノイズ以外の音も試したい人は、作業用の環境音おすすめで雨音やカフェの店内音をまとめています。
音楽で集中したい日は集中できるBGM、ノイズ入りの音楽が気に入ったらLoFiとはもどうぞ。
脳波や周波数をうたう音源が気になる人はバイノーラルビートは勉強に効くのかで研究を整理しています。

この記事を書いた人

Cafe BGM Playlister 編集部

カフェBGMと作業用BGMの専門メディア「Cafe BGM Playlister」の編集部です。
運営元のレーベルでカフェBGMアーティストの楽曲制作と配信に携わっていて、この記事で紹介したアーティストの一部も当レーベルの所属です。
選曲は、収録曲や再生時間、公開されている情報を編集部が確かめたうえで選んでいます。

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