作業中、音楽だけじゃなくて画面にも何か映しておきたい。
そんなときに使えるのがBGVです。
この記事では、BGVとは何か、BGMとどう使い分けるか、テレビやモニターに映すときのコツをまとめて、後半で流しっぱなしにできる映像つきの長尺動画を5つ紹介します。
BGVとは、Background Video(バックグラウンドビデオ)の略で、じっと見るためではなく部屋や店の背景として流しっぱなしにしておく映像のことです。
BGMの「映像版」と考えるとわかりやすく、カフェの店内や街並み、森や水辺の風景を、音と一緒に長時間映し続ける使い方が一般的です。
BGVとは?BGMとの違い
BGMとBGVの違いは、背景にするのが耳か目か、というところにあります。
BGMは音で部屋の空気を作り、BGVは映像で部屋の景色を作ります。
どちらも「主役にしない」のが前提で、集中して見たり聴いたりするための作品とは役割がちがいます。
実際のBGVは、映像だけのものより、音とセットになっているものがほとんどです。
よくあるのは次の3タイプです。
- カフェ系:店内や窓辺の映像に、ジャズやボサノバと店内の環境音を重ねたもの
- 街歩き系:カメラを持って街を歩いた映像で、音は街のざわめきや足音がそのまま入っているもの
- 自然系:森、湖、川、海などの風景に、穏やかな音楽か自然の音を合わせたもの
なので「BGVを流す」は、ほとんどの場合「映像つきのBGMを流す」と同じ意味になります。
音だけのBGMと違うのは、画面がひとつ部屋の中に増えることです。
画面が増えるぶん、作業中の気の散り方や、置き場所にも気を配ることになります。
音楽を探す入り口としてチャンネル単位で選びたい人は、作業用BGMのYouTubeチャンネル紹介のほうが目的に合うはずです。
この記事は「映像があることで何が変わるか」に絞って書いています。
作業中にBGVを流すと何が変わるのか
BGVのいちばんの良さは、目を上げたときに景色があることです。
在宅で壁に向かって作業していると、視線の逃げ場がモニターとスマホしかなくなりがちです。
横のテレビにカフェの窓辺や森の映像が映っていると、手を止めた数秒のあいだに目を休める先ができます。
自然の景色を眺めることの効果は、研究でも調べられています。
ミシガン大学のBerman, Jonides & Kaplan (2008)は、自然の中を歩いたり、自然の写真を眺めたりしたあとに、注意を向ける力を測る課題の成績が上がったと報告しています。
自然は注意を穏やかに引きつけるので、意識して集中するための力がそのあいだに回復する、という「注意回復理論」に沿った結果です。
ただしこの実験で使われたのは散歩と写真で、作業しながら映像を流しっぱなしにした場合の効果を確かめたものではありません。
BGVに当てはめるなら、「休憩の数分に自然の映像を眺める」くらいの使い方が、研究に近い形になります。
逆に、BGVが邪魔になる場面もあります。
編集部の経験則では、動くものは視界の端にあっても目を引くので、画面のすぐ横に映像を置くと、文章を読む作業ではちらちら気が散りがちです。
同じ理由で、カメラがほとんど動かない映像(店内の定点や窓の外の景色)は気になりにくく、街歩きのようにカメラが進み続ける映像は休憩向き、という分け方をしておくと選びやすくなります。
音の面の注意点は、BGMと同じです。
歌詞つきの曲が読み書きの作業とぶつかりやすい話は作業用BGMの効果を研究から整理した記事にまとめたので、作業中に流すなら、インストか環境音だけの映像を選ぶのが無難です。
テレビやモニターにBGVを映すコツ
BGVは、スマホの小さな画面よりテレビやサブモニターに映すのが向いています。
部屋の景色として置くものなので、画面が大きいほど「窓がひとつ増えた」感覚に近づくからです。
映すときのコツは4つあります。
- テレビのYouTubeアプリで直接再生する:パソコンやスマホから映すと、手元の端末が再生に取られる。テレビ側で再生すれば、手元は作業に使える
- 視界の正面ではなく、横か斜め後ろに置く:正面にあると映像が作業画面と取り合いになる。目を上げたときにだけ視界に入る位置が使いやすい(経験則)
- 明るさを下げる:背景なので、画面がまぶしい必要はない。部屋の照明より少し暗いくらいにすると、窓の外の景色のように馴染む
- 音と映像を分けてもいい:好きな映像を消音で流し、音楽は別の端末やスピーカーから流す組み合わせもできる。街歩きの映像に手持ちのローファイを重ねる、といった使い方
有機ELのテレビやモニターで長時間映すときは、焼き付きにも気をつけておきたいところです。
ASUSの有機ELノートPC向けサポートページでは、同じ画像を高い輝度で長時間表示すると焼き付きが起きる可能性があるとして、輝度を下げて同じ画像を継続して表示しないことを推奨しています。
BGVは映像が動き続けるぶん静止画よりは安心ですが、定点映像で画面の一部(窓枠やテーブルなど)がずっと同じ位置にあるものは、静止画に近い状態になります。
有機ELで毎日何時間も流すなら、明るさを控えめにして、ときどき別の動画に切り替えておくと安心です。
途中に広告が入ると、景色がいきなり切り替わってBGVとしては台無しです。
広告を避ける方法は広告なしでBGMを流す方法の記事にまとめています。
お店でBGVを流すときの注意
カフェや美容室なら、店内のテレビにBGVを流したいと考えることもあると思います。
ここで気をつけたいのが、YouTubeの動画をそのまま店内で流すことです。
YouTubeの利用規約は、禁止事項として「本サービスを個人的、非営利的な用途以外でコンテンツを視聴するために利用すること」を挙げ、例として「不特定または多数の人のために、本サービスの動画を上映したり、音楽をストリーミングしたりすることはできません」と書いています。
つまり、この記事で紹介する動画も含めて、YouTubeの動画を店内でお客さんに向けて流すのは、規約上できない使い方です。
お店でBGVを使うなら、店舗での利用を認めている映像サービスや、使用許諾つきの映像素材を選ぶことになります。
音楽の権利まわりは店舗BGMの選び方と配信やBGMの著作権の記事で詳しく扱っています。
この記事の紹介は、自宅や自分ひとりの作業部屋で流す前提です。
実際に流すならおすすめのBGV5選
カフェ系、街歩き系、自然系を1本ずつ以上選びました。
どれも1時間半から12時間の長尺で、流しっぱなしにしても途中で終わりにくいものです。
最後の1枚は、映像を消音して音楽だけ自分で重ねたい人向けのアルバムです。
1. Relaxing Jazz Piano
部屋をそのままカフェの一角に見せたいなら、この「4K Cozy Coffee Shop」が手っ取り早い1本です。
概要欄によると、窓の外に雪が降るなか、キャンドルと黄色い照明で温かく飾ったカフェの店内が映る映像で、そこにピアノジャズが重なります。
長さは約3時間25分で、午前か午後の作業時間をまるごと任せられます。
2. Rambalac
音楽ではなく東京の街そのものを背景にしたい人には、Rambalacの散歩動画があります。
この「Tokyo walk from day to rainy night」は、東池袋駅から雑司ヶ谷霊園を抜けて目白、池袋へと歩く約1時間27分の映像で、途中で日が暮れて雨が降り出します。
概要欄に載っているのはルートと撮影機材で、音楽のクレジットはありません。
音は街の音だけなので、消音して好きな音楽を重ねる使い方にも向いています。
3. Relaxation Film
景色を窓の代わりに置くなら、12時間ぶっ通しで流れるこの「Nature Europe 4K」が使えます。
日差しの差す丘や霧の川の谷など、ヨーロッパの自然を映した風景映像に穏やかな音楽を合わせたもので、概要欄では最大8Kで作った映像を4Kに落として仕上げたと説明されています。
朝つけておけば夜まで切り替えなしで流せるので、テレビに映しっぱなしにする使い方と相性がいい1本です。
4. 癒しの映像館
日本の景色で、しかも音楽なしのBGVを探しているなら、長野県の上高地を撮ったこの動画が候補になります。
梓川の清流と穂高連峰の新緑の景色に、川の音と鳥のさえずりだけが入った約4時間半の映像です。
音楽が入らないので、BGMのメロディさえ気になるような読み書きの作業とも合わせやすい1本です。
5. Rainveil
Rambalacのような街歩きの映像を消音で流して、音だけ自分で選ぶなら、アルバム「Lo-Fi Beats for City Walks」を重ねるのがおすすめです。
タイトルどおり街を歩くイメージでまとめた全10曲のローファイで、映像の街並みと音の雰囲気をそろえやすくなります。
映像はテレビ、音楽はスマホからスピーカーへ、という分け方で使ってみてください。
自然の映像に海辺のカフェ気分を重ねたいなら、おしゃれカフェおすすめ作業用BGMのアルバム「海の景色とともに作業が進むカフェミュージック」も、消音した海の映像と組み合わせやすい選曲です。
BGVのよくある質問
Q. BGVとは何ですか?
A. Background Videoの略で、部屋や店の背景として流しっぱなしにしておく映像のことです。
カフェの店内や街並み、自然の風景を、音楽や環境音と一緒に長時間映すものが一般的です。
Q. 作業用にはBGMとBGVのどちらが向いていますか?
A. 画面を見続ける作業の最中なら、視界に動くものが増えないBGMのほうが無難です。
BGVは、目を上げたときに景色がほしい人や、休憩中に自然の映像を眺めたい人に向いています。
自然の写真を眺めたあとに注意の課題の成績が上がったという研究(前掲のBerman, Jonides & Kaplan, 2008)はありますが、作業中に流し続ける効果を確かめたものではありません。
Q. お店でYouTubeのBGVを流しても問題ありませんか?
A. YouTubeの利用規約では、不特定または多数の人のために動画を上映することは禁止事項に挙げられています。
お店で流すなら、店舗利用を認めている映像サービスや使用許諾つきの素材を使ってください。
Q. 有機ELテレビでBGVを流しっぱなしにしても大丈夫ですか?
A. 同じ画像を高輝度で長時間表示すると焼き付きの可能性があるとメーカーのサポートページで案内されています。
明るさを控えめにし、定点映像を毎日長時間流すなら、ときどき別の動画に切り替えておくと安心です。
BGVを始めるなら
まずは手持ちのテレビのYouTubeアプリで、カフェ系か自然系の長尺を1本、明るさを落として流してみてください。
作業中はカメラの動かない映像、休憩中は街歩きのように景色が進む映像、と分けると使いやすくなります。
音のほうを詰めたくなったら、作業用の環境音の記事や自宅をカフェ化するBGMの記事、アーティストから探すならカフェBGMアーティスト一覧をどうぞ。
この記事を書いた人
Cafe BGM Playlister 編集部
カフェBGMと作業用BGMの専門メディア「Cafe BGM Playlister」の編集部です。
運営元のレーベルでカフェBGMアーティストの楽曲制作と配信に携わっていて、この記事で紹介したアーティストの一部も当レーベルの所属です。
選曲は、収録曲や再生時間、公開されている情報を編集部が確かめたうえで選んでいます。
