原稿やブログ記事、小説みたいなまとまった文章を書くときに流せる執筆BGMを7つ紹介します。
どれもYouTubeかYouTube Musicなら無料で聴けて、7つとも歌詞の入っていない音源です。
執筆BGMは、文章を書く作業のあいだに流す音楽や環境音のことで、頭の中で組み立てている文とぶつからないよう、歌詞なしの音を選ぶのが基本です。
この記事では、書く作業を「構想」「下書き」「推敲」の3つに分けて、それぞれに向く音を選びました。
手帳やノートに思考を書き出す時間ならジャーナリングBGMのほうが近いので、そちらもどうぞ。
なぜ歌詞なしなのか、工程ごとにどう変えるのかは、後半の「この7つを選んだ基準」にまとめています。
執筆BGMおすすめ7選
1は構想、2と4〜7は下書き、3は推敲に向く音として選んでいます。
前半の3つはYouTubeの長尺動画、後半の4つはApple MusicやSpotifyでも聴けるアルバムです。
1. HALIDONMUSIC
何を書くかまだ決まっていない、構想の段階で流したいのが「Classical Music for Writing」です。
概要欄には「作家や詩人のための、雰囲気のある感情豊かなクラシックのプレイリスト」とあり、サティの「ジムノペディ」3曲から始まります。
約2時間あるので、メモを取りながら話の筋や記事の構成をぼんやり考える時間に、流しっぱなしにしておけます。
曲によって弦楽合奏の厚い響きも入るので、手が止まりがちな構想向けにして、どんどん書き進める下書きでは後半のアルバムに切り替えるのが編集部のおすすめです(ここは経験則です)。
2. Abbie Emmons
小説を書く人に向いているのが、小説家で、YouTubeで小説の書き方を発信しているAbbie Emmonsの「writing in a cozy old library during an autumn thunderstorm」です。
雷雨の日の古い図書館の環境音に、本人が作った静かな音楽を重ねた約2時間の動画で、25分書いて5分休むポモドーロ形式で4本の執筆スプリントが組まれています。
書く時間と休む時間の配分が動画の側で決まっているので、自分でタイマーを用意しなくて済みます。
3. Ambience of Yesteryear
書き上げた原稿を読み直す推敲には、音楽そのものを外したこの「Writer’s Library from the 1930s」を置きました。
概要欄の音のリストは、暖炉の薪がはぜる音、ページをめくる音、万年筆で書く音、紅茶を注ぐ音などで、メロディは入っていません。
4時間あるので、長い原稿を頭から読み直すときも途中で止まりません。
4. Calmwork Cat
朝いちばんに下書きを進めたい人には、アルバム名に「Writing」が入った「Writing Morning Flow 〜集中できる朝カフェ〜」がちょうどいい1枚です。
全10曲、約24分で、最初の3曲は朝のカフェ、残りの7曲は「(Rain)」と付いた雨の曲です。
1周がほぼ25分なので、「このアルバムが終わるまでに1節書く」と決めて書き始めると区切りがつけやすくなります。
5. FuL
カフェに原稿を持ち込んで書く、あの感じを家で再現したいなら「Quiet Cafe Chill for Writing」です。
冬の午後をイメージしたカフェジャズに、ボサノバや「カフェ気分 -超集中-」「カフェ気分 -読書に没頭-」といった曲が混ざった全10曲、約24分のアルバムです。
本物のカフェと違って隣の席の会話が入ってこないので、カフェの雰囲気だけを借りて書けます。
Apple Musicでは「Ful」、Spotifyでは「FUL」と表記されています。
6. Lofi Jazz Terrace
1時間以上まとめて書き進めたい日は、タイトルに「write」の入った「Reading (lofi beats to study, write, think, create, and unwind)」を流しておきましょう。
1〜3分ほどのローファイジャズが30曲、約1時間ぶん続くので、2〜3周させれば半日ぶんの下書きにも付き合ってくれます。
ローファイはビートが一定で曲ごとの起伏が小さく、書く手のリズムを乱しにくい音です(ここは経験則です)。
7. Lunatte
締め切り前の夜や、仕事終わりに書く時間には「Library Cafe Lofi Calm: Relaxing Hip Hop Tapes for Writing and Working at Night」を。
アルバム名どおり夜に書く人向けのローファイヒップホップで、「閉店後の静けさ」「雲間からの月光」など夜の曲名が並ぶ全10曲、約24分です。
6のLofi Jazz Terraceより1枚が短いので、夜に1本だけ記事を書く、くらいの日に合わせやすい長さです。
7選の比較
迷ったら、いまどの工程にいるかで選んでください。
| 名前 | 音の中身 | 雰囲気 | 向く工程 |
|---|---|---|---|
| HALIDONMUSIC | クラシック(ピアノと弦楽) | 静かで少し物憂げ | 構想 |
| Abbie Emmons | 図書館の環境音と静かな音楽 | 雷雨の日の図書館 | 小説の下書き(ポモドーロ) |
| Ambience of Yesteryear | 環境音のみ(音楽なし) | 1930年代の書斎 | 推敲、読み直し |
| Calmwork Cat | カフェインストと雨の曲 | 朝の静かなカフェ | 朝の下書き(約24分) |
| FuL | カフェジャズとボサノバ | 落ち着いたカフェ | カフェ気分の下書き(約24分) |
| Lofi Jazz Terrace | ローファイジャズ | ゆるく一定のビート | 長めの下書き(約1時間) |
| Lunatte | ローファイヒップホップ | 夜の図書館カフェ | 夜の執筆(約24分) |
この7つを選んだ基準
7つに共通させたのは、次の3条件です。
- 歌詞が入っていない
- 書き進める時間は、起伏の少ない音にする
- 読み直す時間は、音楽を外せる
歌詞を外す理由
文章を書いているあいだ、頭の中では次に書く文を言葉で組み立てています。
そこへ意味の分かる言葉が耳から入ると、頭の中の言葉と同じ処理を取り合うことになります。
スウェーデンの研究チームは、ふつうの話し声を流しながら文章を書くと成績が落ち、同じ声を加工して意味が聞き取れないようにすると無音と差がなかったと報告しています(Sörqvist, Nöstl & Halin, 2012)。
音の大きさや響きではなく、言葉の意味が書く作業の邪魔をしていたということです。
歌詞も意味のある言葉なので、7つとも歌詞の入っていない音源から選びました。
歌詞なしでも書く速さは少し落ちる
ただし、歌詞を外せば音楽がまったく邪魔にならない、とまでは言えません。
アメリカの大学生45人に10分ずつ短い説明文を書いてもらった実験では、音楽を流したグループは無音のグループより書く速さが落ちていました(Ransdell & Gilroy, 2001)。
タイピングの速さをそろえたうえで、1分あたりに書いた語数は無音で18.8語、音楽ありで17.8語です。
しかもこの実験では、歌入りでも楽器だけでも落ち方は同じでした。
一方で、書き上がった文章の質は音楽があっても下がっていません。
著者らは、音楽があると書き手が質を保つために書く速さを落としている、と考察しています。
この結果から、下書きでは「なるべく存在感の小さい音」を選ぶことにしました。
2と4〜7は、どれも曲ごとの起伏が小さいローファイや静かなカフェインストで、音量を小さめにして流す前提です。
構想の段階は書く速さより考える時間が長いので、1のクラシックのように雰囲気のある音でも邪魔になりにくいと考えています(ここは経験則です)。
推敲は「読む作業」として扱う
推敲は、書く作業というより自分の文章を読む作業です。
読む作業については、歌詞つきの音楽を聴きながらだと読解テストの成績が下がったという実験があります(Perham & Currie, 2014)。
この実験では、歌詞なしの音楽は歌詞つきほど成績を下げませんでした。
とはいえ、前掲のRansdellらの実験では歌詞なしでも書く速さが落ちています。
誤字や言い回しのひっかかりを探す推敲は、音楽を外して読むのが無難です。
そこで推敲用には、3のように音楽が入っていない環境音の動画を選びました。
無音だと落ち着かない人でも、ページをめくる音や薪の音くらいなら流しておけます。
執筆BGMのよくある質問
Q. 英語の歌なら、日本語の文章を書くときに流してもいいですか?
A. 日本語の歌よりは邪魔になりにくい可能性があります。
前掲のSörqvistらの実験で書く作業を乱したのは、意味の聞き取れる言葉でした。
ただ、英語がある程度わかる人には英語の歌詞も意味を持って聞こえてしまうので、下書きの途中で集中が切れるようなら歌なしに戻すのがおすすめです。
Q. カフェで書くと、店内のBGMや話し声が気になります
A. 気になるのは、たぶん話し声のほうです。
オフィス作業を想定して、話し声を流しながら文章を書いてもらった実験では、影響は全体として小さかったものの、2人の会話は、電話のように片方の声だけが聞こえる会話より邪魔になっていました(Keus van de Poll & Sörqvist, 2016)。
隣の席の会話が耳に入る日は、イヤホンで5のFuLのようなカフェ系のアルバムを小さめに流して、話し声の意味を聞き取りにくくしておくのも手です(ここは経験則です)。
自宅でカフェの雰囲気を作りたい人はおうちカフェBGMもどうぞ。
Q. 音量はどれくらいにすればいいですか?
A. 書いている文が頭の中で聞こえる程度に、音楽が後ろに下がる音量が目安です。
前掲のRansdellらの実験では、聴き流すだけの音楽でも書く速さが落ちていたので、迷ったら小さめに寄せてください。
音量の考え方は作業用BGMの音量で詳しく書いています。
Q. 執筆と勉強や事務作業で、BGMの選び方は変わりますか?
A. 歌詞を避けるところは同じです。
違うのは、執筆では書く速さと読み直しの両方が大事なので、工程によって音を変える意味が大きいところです。
単純作業や長時間の作業向けのBGMは集中できるBGMや長時間流せる作業用BGMにまとめています。
書く工程に合わせた執筆BGMの選び方
執筆BGMは、歌詞の入っていない音を、構想、下書き、推敲の順に少しずつ控えめにしていくのが選び方の基本です。
構想は1のクラシック、下書きは2と4〜7のローファイやカフェインスト、推敲は3の環境音を目安にしてみてください。
ローファイそのものについてはローファイとはで、音楽の入らない環境音は作業用の環境音で紹介しています。
25分ずつ区切って書きたい人はポモドーロBGMも合わせてどうぞ。
カフェ系のアーティストはカフェBGMアーティスト一覧にまとめています。
この記事を書いた人
Cafe BGM Playlister 編集部
カフェBGMと作業用BGMの専門メディア「Cafe BGM Playlister」の編集部です。
運営元のレーベルでカフェBGMアーティストの楽曲制作と配信に携わっていて、この記事で紹介したアーティストの一部も当レーベルの所属です。
選曲は、収録曲や再生時間、公開されている情報を編集部が確かめたうえで選んでいます。
