LoFi(Lo-Fi Hip Hop)とは|歴史とカフェBGMとして人気の理由

夜にYouTubeを開くと、アニメ調の女の子が机に向かって勉強し続けている配信をよく見かけます。
流れているのは、レコードのノイズがプチプチ鳴る、ゆったりしたビート。
歌詞もサビもないのに、なぜか何時間でも流していられる音楽です。

あの音楽がLoFiです。
LoFi(ローファイ)とは、レコードノイズやこもった質感といった録音の「粗さ」をあえて残した音楽のことで、現在は主にジャズ寄りのゆったりしたヒップホップビート(Lo-Fi Hip Hop)を指します。
この記事では、LoFiの音の特徴と歴史、作業やカフェのBGMとして人気になった理由、今日から使える聴き方までまとめました。

LoFiの定義と音の特徴

LoFiは、low fidelity(低忠実度)の略です。
原音に忠実な「hi-fi(ハイファイ)」の反対語で、もとは「音質が低い」という意味の録音用語でした。
言葉自体は1950年代からあり、音楽スタイルを指す使い方は、1986年にラジオ局WFMUのDJだったWilliam Bergerが自分の番組を通じて広めたとされています(Lo-fi music – Wikipedia)。

つまり、もともとは褒め言葉ではありません。
それが逆転して、録音の欠点とされてきた要素をあえて演出として残すスタイルの名前になりました(前掲のLo-fi music – Wikipedia)。
いま「LoFi」として流れている音は、だいたいこの組み合わせでできています。

  • ノイズ:レコードのプチプチというクラックルや、テープのサーというヒスノイズをわざと乗せる
  • こもった音像:高音を削って、古いラジオやカセットのような柔らかい質感にする
  • ゆったりした一定のビート:ヒップホップ由来の遅めのビートが、起伏なく淡々と続く
  • 歌詞なし:声が入っても、サンプリングされた台詞の断片くらい

LoFi(Lo-Fi Hip Hop)の歴史

いまのLoFiにつながる音は、日本と縁の深いところから始まっています。

源流としていちばん名前が挙がるのは、日本人プロデューサーのNujabes(本名は瀬葉淳)です。
ヒップホップにジャズやソウルを混ぜたサウンドを作り続けた人で、2004年のアニメ「サムライチャンプルー」のサウンドトラックで世界に知られました。
2010年に36歳で亡くなったあと、その音が2010年代のインターネットで広まり、死後に「lofi hip hopのゴッドファーザー」と呼ばれるようになります(Nujabes – Wikipedia)。
デトロイトのプロデューサーJ Dillaも、このジャンルの成立に影響した人物としてよく並べて語られます(前掲のLo-fi music – Wikipedia)。

ジャンルとして爆発したのは、YouTubeの24時間配信の文化ができてからです。
2010年代後半、「lofi hip hop」や「chillhop」のタグがついた配信チャンネルが次々と人気になり、登録者数百万人の規模に育ちました(前掲のLo-fi music – Wikipedia)。
その中心にいたのが、2015年に開設されたChilledCow、いまのLofi Girlです。

Lofi Girlの歩みは、そのままこの文化の歴史と重なります(以下はLofi Girl – Wikipediaより)。
2017年2月に24時間配信「lofi hip hop radio – beats to relax/study to」を開始。
画面のアニメーションは最初、スタジオジブリ「耳をすませば」の映像を借用していたため、2017年に著作権の指摘で配信が一度止まり、イラストレーターのJuan Pablo Machadoが描くオリジナルの「勉強する女の子」に置き換わりました。
2020年2月にはチャンネルが説明のないまま一時停止され、批判を受けて復旧しています(その時点で配信は約13,000時間連続)。
2021年3月にチャンネル名をChilledCowからLofi Girlへ変え、2022年2月に登録者1,000万人に到達しました。
勉強する女の子のイラストは、いまやLoFiというジャンルそのものの顔になっています。

作業やカフェのBGMとして人気の理由

LoFiが「作業用」の代名詞になったのは、音の性質が作業の邪魔をしない方向に揃っているからです。

まず、歌詞がありません。
読んだり書いたりする作業は頭の中で言葉を使うので、耳から別の言葉が入ってくると取り合いになります。
実際、歌詞つきの音楽で読解テストの成績が下がった実験があり(Perham & Currie, 2014)、歌詞の言語や聴く習慣まで調べた2024年の研究もあります。
歌詞のないLoFiなら、この取り合いが起きようがありません。

次に、曲の起伏が少ないこと。
急に盛り上がるサビがあると、そのたびに注意を持っていかれます。
LoFiは同じようなビートが淡々と続くので、音楽が主役に躍り出てきません。
カフェのBGMに向いているのも同じ理由で、会話やコーヒーの時間の背景に置いても邪魔をしないんです。

音量の目安も研究から引けます。
カフェのざわめきくらいの音(70デシベル)だと創造的な課題の成績が上がり、うるさすぎる音(85デシベル)だと下がった、という実験です(Mehta, Zhu & Cheema, 2012)。
音楽そのものの実験ではありませんが、LoFiを流すときも「ざわめき程度の音量まで」がひとつの目安になります。

最後に、これは経験則ですが、24時間配信という形式そのものが作業向きです。
曲が終わるたびに次を選ぶ、あの操作が地味に作業を止めます。
ラジオ形式のLoFi配信は、一度流せば選曲という中断が発生しません。

LoFiの聴き方と定番チャンネル

入口はYouTubeの24時間配信が手軽です。
歴史をつくった本家と、カフェ寄りの実例をひとつずつ貼っておきます。

Lofi Girl

  • ローファイヒップホップ
  • 淡々としたビート
  • デスクワーク全般に

歴史の節に出てきた本家です。
メインの「lofi hip hop radio – beats to relax/study to」のほかにも系列の24時間配信がいくつもあって、ここではアジアの音を混ぜた「asian lofi radio」を貼っておきます。
どれを開いても、選曲いらずでLoFiが流れ続けます。

Lofi Jazz Terrace

  • ローファイジャズ
  • しっとり落ち着く
  • 夜の作業に

ビートもののLoFiにジャズの生楽器の気配を足した、しっとり寄りの選曲です。
カフェ気分でLoFiを流したいなら、アルバム「Lo-Fi Cafe: Lo-Fi for Study and Focus」がそのまま使えます。

LoFiのよくある質問

Q. LoFi(ローファイ)とはどんな音楽ですか?

A. レコードノイズやこもった質感といった録音の粗さをあえて残した音楽で、現在は主にジャズ寄りのゆったりしたヒップホップビート(Lo-Fi Hip Hop)を指します。
歌詞がなく曲の起伏も少ないので、作業用BGMやカフェBGMの定番になっています。

Q. なぜLoFiはわざと音質を下げているのですか?

A. 録音の欠点とされてきたノイズやこもりを、演出として使うスタイルだからです。
古いレコードやカセットのような質感が出て、ピカピカに磨いた音より聴き流しやすくなる、というのが編集部の実感です。

Q. LoFiは勉強や仕事中に聴いても大丈夫ですか?

A. 向いている部類です。
歌詞つきの音楽で読解テストの成績が下がった実験があり(前掲のPerham & Currie)、歌詞のないLoFiはその点を最初からクリアしています。
作業向けの具体的な選曲はLoFi作業用BGMの記事にまとめています。

Q. LoFiはどこで無料で聴けますか?

A. YouTubeの24時間配信なら無料です。
Lofi Girlが定番で、SpotifyやApple MusicにもLoFiのアルバムやプレイリストが揃っています。
広告なしで流しっぱなしにしたい人は、音楽サブスクのほうが快適です。

今日LoFiを流すなら

迷ったらLofi Girlの配信をひとつ開いて、ざわめき程度の音量で流す。
LoFi入門はこれで十分です。
そこからカフェっぽい音に寄せたくなったら、ローファイジャズへ広げていくのがおすすめの順路です。

作業用に絞った選曲はLoFi作業用BGMの記事に、夜の時間に合う選曲は夜カフェBGMの記事にまとめています。
LoFiを含むカフェミュージック全体の見取り図はカフェミュージックの解説記事を、アーティストから探すならカフェBGMアーティスト一覧をどうぞ。

この記事を書いた人

Cafe BGM Playlister 編集部

カフェBGMと作業用BGMの専門メディア「Cafe BGM Playlister」の編集部です。
運営元のレーベルでカフェBGMアーティストの楽曲制作と配信に携わっていて、この記事で紹介したアーティストの一部も当レーベルの所属です。
紹介するチャンネルや音源は、編集部が実際に聴き比べたうえで選んでいます。

タイトルとURLをコピーしました